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実需と仮需
 売買取引が行われる市場は何であれ、価格動向に強い影響を与えるものは需給動向である。そして需給には実需と仮需がある。

 為替市場にも実需と仮需がある。経常収支のようにモノ・サービスの輸出入決済によって発生するものや、海外投資家が日本国内の資産(株、債券、不動産等)が割安と判断して行う対日投資、あるいは逆に日本の個人や機関投資家が海外の株式、債券等へ投資する対外投資等が実需に含まれる。この実需の数字は国際収支統計から捉えることができる。資料1は03年、04年の2年間の円買(ドル売)需要額と円売(ドル買)需要額を示した表である(表内のマイナスの符合は国境を越える取引が行われた結果、円買いドル売りが発生したことを意味する)。

 過去2年間の円の実需動向は、経常収支34兆円と、海外投資家が日本の証券へ投資した対内証券投資23兆円との合計額57兆円が円買い需要として発生している。一方、日本国内の投資家が行った対外証券投資37兆円に、急激な円高阻止のために本邦金融当局によって行われた円売りドル買いの為替介入金額35兆円を足した72兆円が円売りの需要額である。


膨大な仮需の影響
 この表から言えることは、過去2年間の実需を見る限り、円売り72兆円と円買い57兆円との差し引き15兆円ほど円売りの金額が多かったということである。つまり、本来ならば、円高ではなく円安になっているのが妥当なのである。しかし、単月ベースでみてもネットの円売りが頻繁に発生しているにも拘らず、ドル円相場は120円から103円程度まで円高が進んだ(資料2)。

 この疑問を説明するのが仮需である。仮需とは主に為替相場の将来見通しから利益を得ることを目的に為替予約やオプションを使って投資したものでる。仮需にはヘッジファンドの投機的取引や国内機関投資家の外債ヘッジ等も含まれるが、この仮需は実需と違い、最終的に現在のポジションの反対売買を行い損益を確定する必要がある。

 ネットの実需ベースで15兆円の円売りがあったにも拘らず円高に動いたということは、少なくとも仮需の円買いが15兆円以上存在するものと推察される。円高がトレンド的に動いている場合は問題ないが、円安に反転し始めたとき、この仮需15兆円以上のポジションの反対売買が今度は膨大な円安(ドル高)圧力となる可能性も高い。


(資料1)03〜04年の円買需要と円売需要
(資料2)円の需給動向(2003.1-2004.12)
*週刊レポート誌INVESTMENT第816号 2005年4月8日より
第一投資顧問(株)
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